「ニキビがあるから、きっと脂性肌よね?」
「とりあえず皮脂を抑えるケアをしておけば大丈夫かな?」
ニキビケアを行う際、ついニキビそのものにばかり目が行きがちですが、お客様一人ひとりの根本的な「肌質」を見極めることは、実は非常に重要です。なぜなら、肌質によってニキビの原因や悪化要因が異なり、必要なアプローチも変わってくるからです。肌質を無視した画一的なケアは、かえってニキビを悪化させたり、他の肌トラブルを引き起こしたりする可能性さえあります。
この記事では、ニキビケアを提供するエステティシャンやサロンオーナーの皆様に向けて、ニキビがある状態でもお客様の肌質(乾燥肌・脂性肌・混合肌・普通肌・敏感肌)を正確に見極めるためのチェックポイントを【図解】を交えながら解説します。さらに、その見極め結果を活かした効果的なカウンセリング術まで、実践的にご紹介します。

この記事を読めば、あなたの肌質を見極めるスキルが向上し、お客様へのカウンセリングと施術提案に自信が持てるようになります。よりパーソナルで的確なニキビケアを提供し、お客様満足度を高めていきましょう!
肌質診断だけでなく、ニキビの種類、原因、最新のケア方法など、ニキビケアに関する総合的な知識を深めたい方は、『ニキビケア完全マスターガイド』が役立ちます。
なぜ重要?ニキビがあっても「肌質」を見極めるべき理由

ニキビケアにおいて、なぜ肌質の見極めがそれほど重要なのでしょうか?主な理由は3つあります。
- ニキビの原因と肌質は密接に関連しているから
例えば、脂性肌の場合は過剰な皮脂が毛穴詰まりの直接的な原因になりやすいですが、乾燥肌の場合はバリア機能の低下やターンオーバーの乱れが間接的にニキビを引き起こしている可能性があります。原因が違えば、アプローチも変えるべきです。 - 肌質に合わないケアはニキビを悪化させる可能性があるから
乾燥肌なのに強い脱脂力の洗顔料を使ったり、脂性肌なのに油分の多いクリームを使いすぎたりすると、肌の水分・油分バランスがさらに崩れ、ニキビが悪化したり、新たな肌トラブルを招いたりする可能性があります。 - 適切なホームケアアドバイスに不可欠だから
サロンでのケア効果を持続・向上させるためには、お客様の肌質に合ったホームケアが欠かせません。肌質を正確に把握することで、最適なスキンケア製品や生活習慣のアドバイスが可能になります。
つまり、肌質の見極めは、効果的で安全なニキビケアの「土台」となるのです。
【基本の4タイプ】肌質を見極めるチェックポイント

まずは、基本的な4つの肌質(乾燥肌・脂性肌・混合肌・普通肌)を見極めるポイントを見ていきましょう。ニキビがある場合の特徴も合わせて解説します。
1. 乾燥肌 (Dry Skin)
- 特徴
皮脂量も水分量も少ない。肌表面はカサつきやすく、キメは細かいが見えにくい。洗顔後につっぱりやすい。 - 毛穴
あまり目立たないことが多い。 - 触感
しっとり感がなく、硬く感じることがある。 - ニキビがある場合
バリア機能が低下し、刺激によって炎症性のニキビ(赤ニキビ)ができやすい。フェイスラインや口周りに繰り返しできる「大人ニキビ」が多い傾向。乾燥によるターンオーバーの乱れから、毛穴が詰まりやすくなることも。 - ケアの方向性
保湿とバリア機能強化が最優先。刺激の少ないケアを心がける。
2. 脂性肌 (Oily Skin)
- 特徴
皮脂量が多く、水分量も比較的多い。肌表面はテカリやベタつきが気になる。キメはやや粗い。 - 毛穴
全体的に開きやすく、詰まりやすい(黒ニキビなど)。 - 触感
しっとり、またはベタつく感じ。 - ニキビがある場合
過剰な皮脂により毛穴が詰まりやすく、白ニキビ、黒ニキビ、炎症性の赤ニキビ、黄ニキビまで、様々なタイプのニキビができやすい。特にTゾーンに多く見られる「思春期ニキビ」はこのタイプが多い。 - ケアの方向性
皮脂コントロールと毛穴ケア。ただし、保湿不足にならないよう注意。
3. 混合肌 (Combination Skin)
- 特徴
部位によって肌質が異なる。Tゾーン(額、鼻)は脂っぽく、Uゾーン(頬、フェイスライン)は乾燥していることが多い。 - 毛穴
Tゾーンは開きやすく、Uゾーンは目立たない傾向。 - 触感
部位によってベタつきとカサつきが混在。 - ニキビがある場合
Tゾーンには脂性肌のようなニキビ、Uゾーンには乾燥肌のようなニキビができやすい。季節や体調によってバランスが変化することも。 - ケアの方向性
部位に応じたケアが必要。全体の水分・油分バランスを整えることを意識する。
4. 普通肌 (Normal Skin)
- 特徴
皮脂量と水分量のバランスが取れている理想的な状態。肌表面はなめらかで、トラブルが少ない。キメも整っている。 - 毛穴
あまり目立たない。 - 触感
しっとり、ふっくらしている。 - ニキビがある場合
全くできないわけではないが、特定の原因(ホルモンバランスの変化、生活習慣の乱れなど)がない限り、できにくい。できても治りやすいことが多い。 - ケアの方向性
現在の良好な状態を維持するケア。季節や年齢に応じた調整を行う。
忘れちゃいけない!「敏感肌」の見極めと注意点

上記の4タイプとは別に、「敏感肌」という視点も非常に重要です。敏感肌は、乾燥肌や混合肌など、他の肌質と併存することが多く、外部からのわずかな刺激にも反応しやすい状態を指します。ニキビケアにおいては、特に慎重な対応が求められます。
敏感肌の見極めチェックポイント
- 特定の化粧品を使うと、赤み、かゆみ、ヒリヒリ感が出やすい。
- 季節の変わり目や体調の変化で肌が荒れやすい。
- 紫外線や摩擦などの物理的刺激に弱い。
- 皮膚が薄く、毛細血管が透けて見えやすい。
- アレルギー体質やアトピー性皮膚炎の既往がある。
敏感肌へのニキビケア注意点
- 低刺激処方の製品を選ぶ: アルコール、香料、着色料などがフリーの製品を選ぶ。
- 新しい化粧品は必ずパッチテストを行う: 事前に腕の内側などで試してから顔に使用する。
- 摩擦を避ける: ゴシゴシ洗顔や強いマッサージは避ける。
- 施術内容を慎重に選ぶ: ピーリングなど刺激の強い施術は避け、鎮静や保湿を中心としたケアを優先する。
敏感肌かどうかを見極めることは、肌トラブルを未然に防ぎ、安全にニキビケアを進める上で不可欠です。
カウンセリング実践術!肌質×ニキビタイプで最適な提案を

お客様の肌質とニキビタイプを見極めたら、いよいよカウンセリングで最適なケアプランを提案します。
1. カウンセリングシートの活用
事前に肌質や普段のスキンケア、生活習慣に関する質問項目を用意しておくとスムーズです。
例:「洗顔後、肌はつっぱりますか?」「日中、顔のテカリは気になりますか?(どの部分が?)」「普段お使いの化粧品で刺激を感じたことはありますか?」
2. 視診・触診のポイント
- 視診
明るい照明の下で、肌の色ムラ、赤み、毛穴の状態、キメ、ニキビの種類と分布をよく観察します。マイクロスコープがあれば、より詳細な情報が得られます。 - 触診
清潔な手指で優しく肌に触れ、水分量(ハリ)、油分(ベタつき)、肌の厚み、温度などを確認します。(お客様の許可を得て行いましょう)
3. 肌質×ニキビタイプ別の提案ヒント
- 「乾燥肌 × 大人ニキビ」
保湿とバリア機能強化を最優先。刺激の少ない鎮静ケアや、ターンオーバーを優しく促すケアを提案。ホームケアでの徹底保湿の重要性を伝える。 - 「脂性肌 × 思春期ニキビ」
皮脂コントロールと毛穴洗浄、アクネ菌ケアが中心。ただし、保湿も忘れずに。正しい洗顔方法とノンコメドジェニック製品の選び方をアドバイス。 - 「混合肌 × Tゾーンニキビ」
Tゾーンには皮脂抑制、Uゾーンには保湿と、部位別のケアを提案。全体のバランスを整える化粧水や美容液選びをサポート。 - 「敏感肌 × 炎症ニキビ」
まずは低刺激の鎮静ケアで炎症を抑えることを最優先。パッチテストを行いながら、慎重に施術を進める。ホームケアもシンプルで低刺激なものを推奨。
お客様への伝え方:専門用語を分かりやすく説明するコツ
どんなに的確な見極めができても、お客様に理解・納得してもらえなければ意味がありません。専門用語を避け、分かりやすい言葉で伝える工夫が大切です。
- 専門用語の言い換え例
- 「ターンオーバーが乱れていますね」→「お肌の生まれ変わりが少し滞っていて、古い角質が残りやすい状態ですね」
- 「バリア機能が低下しています」→「お肌を守る力が弱っていて、乾燥しやすく刺激を受けやすい状態です」
- 「皮脂分泌が過剰です」→「お肌を守るための油分が少し出すぎてしまっているようです」
- お客様に気づきを促す質問
- 「洗顔の後、お肌がつっぱる感じはありますか?」
- 「夕方になると、どのあたりがテカってきますか?」
- 「この化粧水、しっとりしますけど、少しベタつく感じはしませんか?」
- 共感と肯定
- 「そうですよね、フェイスラインのニキビは治りにくくて気になりますよね」
- 「毎日しっかりケアされているんですね、素晴らしいです。その上で、もう少し〇〇を意識するともっと良くなりそうです」
丁寧な説明とコミュニケーションを通じて、「この人は私の肌をちゃんと分かってくれている」という信頼感を築くことが、リピートにも繋がります。
まとめ
ニキビケアの成功は、お客様一人ひとりの肌質を正確に見極めることから始まります。
- ニキビがあっても、乾燥肌・脂性肌・混合肌・普通肌・敏感肌の基本的な肌質を見極めることが重要。
- 肌質によってニキビの原因や適したケアは異なるため、画一的なアプローチは避ける。
- カウンセリングでは、視診・触診に加え、お客様との対話を通じて情報を引き出し、肌質×ニキビタイプで最適なプランを立てる。
- 専門用語を避け、分かりやすい言葉で説明し、お客様の納得感と信頼を得る。
肌質の見極めは、一度で完璧にできるものではありません。お客様の肌は、季節や体調、年齢によっても変化します。

継続的に肌状態を観察し、常に知識をアップデートしていく姿勢が、プロのエステティシャンとして不可欠です。この記事を参考に、ぜひ明日からのカウンセリングと施術に活かしてください。
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